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衝撃・・・栃木県の死亡率が第一位!これからの住まいに本当に必要なものは?

冬になると、寒さが身体にこたえますね。

 

一年で、冬の死亡率が一番高いのは、寒さのせいでもあるようです。

じゃあ、寒い北海道は、たくさんの方が健康を害している?

 

いえいえ、北海道の冬の死亡率は、47都道府県で最下位なんです。

 

北海道だけでなく、秋田や青森も、家の断熱が進んだ地域のため、
住宅内の温度差が少なく、
血管系の死亡リスクが低くなる傾向があるんです。


今回は、住宅の寒さが人に与える健康被害と、その対策方法についてのお話しです。 
 
 

・比較的温暖な県ほど冬季死亡増加率が高い!

 
下のグラフは、毎年厚生労働省が発表する人口動態統計(2014年)を、都道府県別・月別・死因別にグラフ化したものです。

 都道府県別冬の死者
 
寒いはずの北海道ですが、冬季死亡増加率は10%と、47都道府県で一番低い値となっています。
一方、比較的温暖な栃木県の冬季死亡増加率は25%と、北海道の冬季死亡増加率より2倍以上も高く、また全国平均17.5%に対しても、高い数値となっており、不名誉な全国一位を獲得しています。
 その他、冬季死亡増加率の低い県は、秋田・青森・新潟など、寒い県が多く、冬季死亡増加率の高い県は山梨・愛媛・三重など温暖な地域が続きます。
 
また死因については「心臓疾患」が一番多く、次いで「脳疾患」「呼吸器疾患」と続き、血管系の疾患が多いことがわかります。
 
では、なぜ寒い冬に、寒い地域の死亡率が低くなり、暖かい地域の死亡率が高くなるのでしょうか?
 
 

・高断熱住宅は健康効果に大きな影響がある!

 

 高断熱住宅と死亡率の関連
上のグラフを見てください。
 
むかって左側が、先ほどの冬季死亡増加率を、色別に分けたものです。
赤や黄色で塗られた県は、冬季死亡増加率が高く、反対に、緑で塗られた県は、冬季死亡増加率の低い県です。北海道や日本海側の寒い県で、冬季死亡率が低くなっているのが理解できます。
また、温暖な県のなかでは、広島も緑に塗られていて、冬季死亡率が低くなっていることがわかります。
一方、むかって右側のグラフは、「高断熱住宅(断熱材をしっかり入れて造った住宅のこと)」の普及率を、都道府県別に色分けしてあります。
赤や黄色で塗られた県は、高断熱住宅の普及率が低く、反対に、緑で塗られた県は、高断熱住宅の普及率が高い県です。北海道や日本海側の寒い県で、高断熱住宅の普及率が高くなっているのが理解できます。また、広島も緑に塗られていて、高断熱住宅の普及率が高くなっていることがわかります。
 
もう、おわかりですね。
つまり、断熱材をしっかり入れて造った高断熱住宅では、冬の死亡率が低くなるのです。
家の断熱化が、部屋同士の温度差を少なくし、また一定気温で暖かくすごせることから、血圧を一定に保ち、心臓や血管などの循環器疾患を引き起こしにくくするわけです。


 
高断熱住宅と病気の減少率

高断熱住宅の健康効果は、これだけにとどまりません。
上のグラフは、高断熱住宅に転居する前と後に分け、どれだけ患者数が減ったかを表したものです。
とくに、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎など、アレルギー疾患が減っています。
これは、断熱化によって結露が改善し、アレルギーの原因であるカビやダニなどの室内環境が改善した効果の表れと、判断できます。

 

 ・断熱化にはプラス100万円。それでも費用対効果はある!

 
高断熱住宅の費用対効果
では、住宅断熱化の費用対効果は、どのくらいになるのでしょうか?
上のグラフは、「住宅断熱化の投資回収年数」と、「健康利益」をあらわしたもの(慶應義塾大学理工学部/伊香賀俊治教授、建築環境・省エネルギー機構/村上周三理事長)です。
 
一般的な新築戸建て住宅(35~40坪)を断熱化した場合、プラスする費用は、およそ100万円です。
その100万円を「断熱化による光熱費の削減」という視点からのみ見ると、回収には29年かかります。しかし、断熱化による「疾病予防」や「個人が負担する医療費の削減」という観点からみれば、その投資回収は16年に短縮されます。さらに、行政庁が負担する医療費の削減という観点も加味すれば、投資回収は11年に短縮されます。
高断熱住宅の普及により、社会全体の総医療費が減れば、健康保険料や税金の減額にもつながり、結果として、健康面・金銭面のメリットを受けられるということになり、その費用対効果が高くなります。
なによりも、服薬や長期入院して手術や点滴をするのは嫌ですよね?
 
 
 
いかがでしたか?
 
壁や天井・床に入っている断熱材ですが、目に見えない部分だけに、軽く考えがちです。
しかし、断熱材がきちんと施工されていない住宅は、ときに命の危険をもたらす重大な疾病をも引き起こします。
住宅を新築・改築するときは、目には見えない「家の断熱化」にお金をかけることが大切です。
 
(しかまのりこ)
 
 
*一般財団法人/建築環境・省エネルギー機構
http://www.ibec.or.jp/GBF/doc/sem_05th_16.pdf 
*論文「健康維持がもたらす間接的便益を考慮した住宅断熱の投資評価」/伊香賀俊治教授ほか
https://www.jstage.jst.go.jp/article/aije/76/666/76_666_735/_pdf
*挿入したグラフはグリーン建築促進フォーラム月例セミナーによる

 

 

2019年02月12日 15:42