低温やけど、睡眠障害…知っておきたい住宅設備トラブル4つ
日々進化する住宅設備のおかげで、わたし達の暮らしは大変便利なものになりました。
しかし、住宅設備のなかには、設置した後に思いもよらないトラブルやクレームが発生することも。
今回は、意外な住宅設備トラブルについて、4つの具体的な例を挙げながらお話ししたいと思います。
1.「魚焼きグリルのガラス窓」で幼児がやけどをする事故も
キッチンコンロについている魚焼きグリルのガラス窓にさわり、幼児がやけどをする事故が増えています。
国民生活センターによると、「魚焼きグリルのガラス窓」でやけどを負う幼児は、
月齢8か月から25か月(0歳~2歳)で、身長は70~80cm。一方、魚焼きグリルのガラス窓の高さも、おなじく70~80cmとなっています。
また魚焼きグリルのガラス窓の温度は、魚焼きグリル使用時で84度(IH)~150度(ガス)と高温です。
つかまり立ちや歩行ができるようになった幼児が、伝い歩きで魚焼きグリルのガラス窓をさわると大やけどをする可能性も。
対策としては、歩き始めの好奇心旺盛な子どもが触れないように、キッチンに侵入防止用の柵をつける、幼児期には魚焼きグリルを使用しない、などの方法があります。
また魚焼きグリル扉の高温を抑制できる商品も販売されているので、コンロごと交換するという方法もあります。
2.「省エネ給湯器/家庭用コージェネシステム」と睡眠障害の関係
エネファームやエコキュート・エコウイルなど、電気やお湯を高効率で生み出し、環境にも優しい「省エネ給湯器/家庭用コージェネシステム」は、国や自治体の補助金などの後押しもあり、設置するご家庭が増えてきています。
しかし、自宅や隣家にある省エネ給湯器/家庭用コージェネシステムの運転音により、不眠や耳鳴り・頭痛などの健康障害を発生したという訴えが、最近、目立ってきています。
健康障害の原因とされているものが、運転音に含まれる「低周波音」で、人体に不快感や圧迫感・睡眠障害を引き起こすと言われています。
家庭用コージェネシステムの運転音と健康障害の関係性は断定はできないものの、その関連性は否定できないと、消費者安全調査委員会(消費者庁)も判断しています。
いまのところ明確な対策はありませんが、運転音の発生源である省エネ給湯器/家庭用コージェネシステムの設置位置を、建物から少し離れた場所に設置・移設するなどの方法がとられています。
3.「温水洗浄便座」で低温やけど!?
今では多くの家庭に普及している「温水洗浄便座」。その普及率は6割を超えています。
1年を通して便座が温かいのは快適ですが、皮膚感覚の弱い高齢者には注意が必要です。
独立行政法人製品評価技術基盤機構によると、高齢者が温水洗浄便座を使用して「低温やけど」を負った事故が、平成27年に4件発生しています。
「低温やけど」は、体温より少し高い熱が長時間作用することで皮膚の深部にまで及び、皮下組織が壊死する場合があるため、重傷事故に至るおそれがあるものです。
対策としては、便座の温度設定を「低」にするか、または使用直前まで温めて、使用中は「切」にするなどの方法が推奨されています。
4.「24時間換気」は音がネック?
新鮮な空気を取り入れて空気中の化学物質を排出し、また結露やカビの発生をおさえる「24時間換気」は、いまの住宅には、設置が義務付けられています。
この24時間換気ですが、換気方式が3種類あります。
そのなかで、給気も排気も機械で行う第一種換気方式は、計画的な換気が可能な反面、ファンなどから発生する異音が、クレームへとつながっています。
「寝室についている給気口からの音が、思ったよりうるさくて、眠れない」という苦情は多い反面、「運転音であって、故障ではない」というメーカー側の見解から、交換などの対応はしてくれません。
対策としては、ダクトや給気口まわりに、消音ボックスを取り付ける方法がありますが、取り付けの際には、メーカーに確認する必要があります。
いかがでしたか?
エコで快適な住宅設備は、いまでは生活に欠かせないものとなりました。
しかし、使い方や設置場所を考慮しないと、トラブルになってしまうケースも。
設置してから後悔しないためにも、住宅設備の選定・使用は、慎重におこなってください。
(しかまのりこ)
【参考】