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雨漏りしやすいのはどんな家?一級建築士が教える「住宅トラブルの多い家」とは!?

 

軒、って知っていますか?

窓や玄関の上にくっついている、

雨や日差しをよける、板のようなものです。

軒や庇の役割は、建物の外壁や窓などの開口部を強い日差しや激しい風雨から保護してくれるものです。
 

最近流行のデザイン住宅には

この、軒のないものが多いですよね。

 

しかし中古住宅を、たくさん検査していると

この軒のない窓や、バルコニーあたりから

 

じめじめ、雨が侵入して

 

壁の中や室内が・・・それはもう、見たくない状況になっています

いつか、命にとどめをさす

 

 

「ガン細胞」

 

 

のようなものです

 

デザインを取るか?がん細胞のリスクを取るか?

慎重にご検討して、家を設計してもらってください
今回は、最近人気の軒や庇のない住宅の、様々なリスクについてのお話しです。

 

・軒なし住宅の雨漏りリスクは5倍?!


瑕疵保険の事故

 

軒なしリスク


軒や庇のない住宅は、窓ガラスや外壁に直接雨が当たるため、窓周りや配管などの開口部から雨漏りしやすくなります。
国土交通省によると、平成21年10月から平成26年12月末までにおきた住宅保険(瑕疵担保責任保険)の保険事故で、その8割が雨漏りなどの防水事故が占めていると発表しています。
また、住宅瑕疵保険会社が雨漏り事故案件を分析した結果と、建築技術専門誌である日経ホームビルダーが独自調査を組み合わせた試算によると、軒のない住宅は雨漏り発生リスクが軒のある住宅に比べて約5倍に及ぶことが分かっています。
夏場の直射日光の影響を受けやすい
軒や庇のない住宅は、窓ガラスや外壁に直射日光が当たることになり、特に夏場は室温が上昇しやすくなり暑くなります。一方、冬場は太陽の日射角度が低いため、軒があっても日射を遮ることがなく、窓からの日射のおかげで室温が下がりすぎることはありません。
 

・外壁の劣化を早める
 

軒や庇のない住宅は、直射日光や風雨の影響を直接受けることになり、その結果、外壁の劣化を早めることになります。
雨漏りは簡単には止まらない厄介な問題
筆者もこれまでに多くの住宅を検査してきましたが、軒や庇のない住宅については特に窓周りの雨漏りが深刻な問題となっていることを実感しています。早ければ新築して数年で雨漏りを起こした物件もあります。また、雨漏りは一度発生すると、被害が建物の外壁から室内までの広範囲に至り、補修費用も高額になることが多いです。万が一雨漏りが発生しても、新築して10年は瑕疵保険で補修費用は支払われます。しかし、雨漏りは一度補修したとしても軒や庇がなければ、数年後また雨漏りしてくることが予想されます。新築から10年以上たっていれば瑕疵保険は下りないので、そのときは自身で補修費用を賄わなければなりません。雨漏りは、それだけ厄介な問題なのです。
 


いかがでしたか?
デザイン的に人気であったり、また都心の狭小な敷地内に建築するために増えてきた軒なし住宅。
しかし、軒なし住宅は軒のある住宅に比べて、外壁などの維持管理や補修などに費用がかかり、また雨漏りリスクが上がります。
住宅を新築・購入するときは、これらのリスクを知ったうえで計画してくださいね。
(しかま のりこ)
 
住宅瑕疵担保保険の保険事故の発生状況/国土交通省
http://www.mlit.go.jp/common/001082620.pdf 
軒ゼロ住宅の雨漏りリスク/日経ホームビルダー
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/bldcolumn/14/500201/112100012/

2017年05月25日 15:41