インテリア/家具レイアウトのCOLLINO

マンションや狭い間取りの、リビング学習/子ども部屋などにお困りの方へ
書籍『家具配置のルール』著者/各種メディア出演/記事執筆多数の
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家具のサイズはひと回り小さく、がいい理由。「部屋の面積ー通り道」で選んで

結婚して子どもが生まれると、モノがとても増えます。
そして、それまでは片付け上手であった人でも、リビングが散らかり放題になる状態を“リビング崩壊”と呼んでいます。
このリビング崩壊に至っている人は、特に共働き世帯で多く、コロナ渦のいまに至っては、深刻な問題です。
この“リビング崩壊”の原因には、モノがふえてしまった原因のほかにも、「収納する力(収納力)」「空間を考える力(空間力)」の「部屋の動線を考える力(動線力)」の3つの力が弱い場合に多発します。
前回までは「収納する力(収納力)」「空間を考える力(空間力)」についてお話いたしました。
今回は、3つ目の力、「部屋の動線を考える力(動線力)」についてお話いたします。
 

・部屋の動線を考える力・・・動線力とは

 
部屋に家具を買うときに、まず考えることは、その部屋の広さですね。

 



例えば上の図のように、間取り図に記載された「リビング6畳」とか「ダイニング5畳」などを、部屋の広さと考えます。
しかし、実際に家具を置くことができる部屋の広さは、この図面に記載された広さではありません。
部屋の中には目に見えない動線があります。この動線とは、人が部屋の中を移動するラインのことです。
そして実際に家具を置くことができる部屋の広さとは、この動線を部屋から差し引いた広さということです。
この動線を差し引かないで家具を購入すると、部屋に対して家具が大きすぎるため、動きにくく狭い部屋となり片づけ作業に支障が出ます。


 



上の図は、この部屋の動線を矢印で示したものです。
キッチンからリビングやダイニングへはいる①の動線、リビングやダイニングから庭へ出る②の動線、そしてリビングやダイニングから2階へ上げる階段に向かう③の動線があります。先ほどの間取り図では「リビング6畳」「ダイニング5畳」でしたが、実際に家具を置くことができる部屋の広さは、矢印の動線を差し引いた青枠で囲まれた「リビング4.5畳」「ダイニング3畳」になるということです。


 


例えば、この動線を差し引かない状態で家具を配置すると、上の図のようになります。家具を置くことはできますが、部屋に対してダイニングテーブルが大きく、そのためリビングやダイニングから庭へ出る動線が狭く動きにくくなります。
また、動線が狭いことで、動きにくい部屋となり、モノを収納するなどの片づけ動作がおっくうになりがちになります。
その結果、部屋が片づかない“リビング崩壊”を起こしやすくします。


 
 

そこで、動線を差し引いた状態で、家具を配置してみました。
ダイニングテーブルは幅180㎝から160㎝と一回り小さくなりますが、動線が広くなり、部屋が動きやすく、片づけやすい部屋になりました。
また、部屋の中心が空くことで、部屋は広く見えます。
 

・動線上に家具を置くことで、片付けがラクに!


また、動線として部屋に空間を作れば、その空間を片付け空間としても利用することが出来ます。


 


上の図は、リビングダイニングが9畳の間取りです。
ダイニングテーブルを壁に寄せ、図のように庭にも出やすく、また動きやすい動線をつくりました。
 
そして、この動線の空間を利用して片づけ作業もできるように、動線に沿って収納家具を上の図のようにレイアウトしました。
動線を利用して家具を置くことで、片づけやすい部屋になり、“リビング崩壊”を防ぐことが出来ます。
 

・空気の流れかたも“動線”のひとつ

 
家の中の空気の流れは「換気経路」と呼ばれています。
人がいるリビングや寝室は、計画的に換気ができるように、この換気経路に沿って、設計されています。


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つまり、上の図のような目には見えない空気の流れが、部屋の中にはあるのです。
この空気の流れも“動線”の一つです。
二酸化炭素や料理などによる水蒸気、ウイルスなど、汚れた空気を取り換える換気作業は、暮らす人や家の健康を保つうえで、とても大切です。
そのため、冷暖房を利かせるために、給気口などは閉めて、換気扇を止めてしまうと、空気は汚れます。
汚れた空気の中では、イライラしたり、ボーっとしたり、作業効率が下がった経験は誰でもお持ちではないでしょうか。
片づけ作業がおっくうになり、散らかし放題に拍車がかかってしまいます。
このような“リビング崩壊”を防ぐためにも、給気口などをあけ換気扇を回して換気を徹底し、常に新鮮空気の中で暮らすようにしましょう。
 
 
いかがでしたか?
目には見えない動線を考えて家具配置することは、慣れてしまえば簡単ですので、ぜひ実践してみてください。今回ご紹介した内容は、
「狭い部屋でも快適に暮らすための家具配置のルール」(彩図社)でも詳しくご紹介しておりますので、よろしければそちらも参考にしてみてください。
 
2021年04月20日 22:00