人が住まなくなった中古住宅は、全国で増え続けています。
この問題を解決するため、政府は多くの補助金制度を作り、中古住宅の購入を消費者に呼びかけています。
しかし、いくら安いからといって、中古住宅にリスクはつきもの。
今回は、少しでも安心して中古住宅を購入するときの、「買ってはいけないNGポイント」をお話しいたします。
■空き家は全国で約820万戸。中には耐震基準を満たしていない建物も……
総務省が実施した調査によると、2013年時点の空き家数は約820万戸。
これは、全国の総住宅戸数の13.5%を占めています。
この空き家の中には、現在の耐震基準を満たしていない中古住宅(1981年6月以前に設計の建物、木造については改定がされた2000年6月以前)も多く含まれます。
先の熊本地震では、この耐震基準を満たしていない建物はほぼ全壊しました。
また耐震基準を満たしている建物でも、何棟か全壊しています。
この実情をふまえ、中古住宅を購入するときは、最低でも現在の耐震基準を満たしている中古住宅を選ぶようにしてください。
もし、気になる物件が耐震基準を満たしていない場合は、耐震工事を行い建物を補強するとよいでしょう。
耐震診断や耐震工事にかかった工事代金は、事前に申請することで補助金が受けられることがあります。
購入を検討している物件がある区役所などに確認してみてください。
また、壁量を2倍にしたり、壁をバランスよく配置しなおすことで、耐震基準よりもさらに地震に強くなります。
より安心した建物にしたい場合は、プラスαで設計・工事を追加するのも有効な方法です。
■部分的に軟弱な地盤がある場合は、工事費がかさみやすいので要注意!
私たち建築士は、建物が乗る地盤についても、その強さを調査して建物の基礎を設計しています。
地盤を調査した結果、軟弱な地盤の場合は地面に鋼管杭などを打って地盤改良をし、地盤を固めます。
問題になるのは部分的に軟弱な地盤が一部ある場合です。
地盤改良は工事費がかさむので、設計者によっては安全と判断し、地盤改良をしない場合があります。
これは明確な瑕疵(欠陥)にはあたりません。
しかし、巨大地震が来た時には、地盤は部分的に陥没し建物は傾きます。
軟弱地盤が存在するかどうかは、地盤調査報告書を専門家に見てもらえれば判断が付きます。
中古住宅を購入するときは、必ず地盤工事の確認もしましょう。
■既存住宅瑕疵保険(きぞんじゅうたくかしほけん)に加入することができない住宅
中古住宅で怖いのが、購入した後に欠陥が見つかることです。
そういった不安を解消するために登場したのが「既存住宅瑕疵保険」です。
この保険は、住宅に雨漏りや構造などの不具合が見つかった場合に2年から5年、500万円から1,000万円の補修金額が支払われます。
保険なので、どんな中古住宅でも入れる訳でなく、検査に合格した物件だけが加入できます。
既存住宅瑕疵保険に加入できない物件は、購入を避けたほうが無難です。
その他にも改修しないと住宅ローン減税を受けられない築20年(木造)築25年(木造以外)越えの物件、設計図などが紛失し、中身を知ることのできない物件、下記のような欠陥のある物件などは避けた方がよいでしょう。
いかがでしたか?
中古住宅は、その立地や値段からとても魅力的ですが、トラブルを抱えることも多いのが現状です。
今回ご紹介したバッドポイントを参考に、リスクの少ない中古住宅を探してみてくださいね。
【参考】
※ 既存住宅インスペクションガイドライン – 国土交通省
2016年09月07日 23:51