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木造でも火災保険・地震保険が安くなる?意外と知らない保険の基礎


2016年4月14日に起こった「平成28年熊本地震」。

震災の恐ろしさを目の当たりにすると同時に、あらためて我が家の耐震や保険について見直しを考えている人は多いのではないでしょうか?

今回は、地震時や火災時に被害の大きくなりやすい戸建て住宅の保険について解説いたします。

 

■木造住宅は災害に弱いため、一般的に保険料が高い

年々減っているとは言われていますが、未だ戸建ての中で大きな割合を占めている木造住宅。

木造住宅とは、主要構造部に木を使った住宅のことで、建て方は主に2種類あり、日本古来の「軸組工法」と、欧米を中心に世界中に広まっている「2×4工法(ツーバイフォー)工法」があります。

設計上の自由度が高い「軸組工法」は、日本で最も採用されている工法でほとんどの建設業者が対応できるため、将来の間取りの変更や改造などが比較的容易にできます。

一方の「2×4(ツーバイフォー)工法」は、統一された規格によって材料の供給を安定させ、完成を早めシンプルな構造システムと品質の高さを維持することが出来ます。

木造住宅は、構造体を木で造っているため、コンクリートや鉄骨で造った建物より火災や災害時の損害が出やすくなります。

そのため、一般的に、鉄筋コンクリート造より鉄骨造のほうが、また鉄骨造より木造のほうが保険料が高くなるなど、火災保険・地震保険料に差が生じてくるのです。

 

■保険料が安くなる木造もある!

壁、床、はり、屋根など建物の主要な部分が、鉄筋コンクリートや鉄骨・ブロックなど燃えにくい構造材でできた建物は、
建築基準法で「耐火建築物」や「準耐火建築物」に含まれるので、保険料が安くなる対象になります。

反対に、一般的な木造住宅は、火災保険ではH構造、地震保険ではロ構造と呼ばれる区分に分類され、保険料が高くなります。

しかし、住宅金融支援機構の定める仕様に基づき建設された木造軸組工法や、2×4工法で造られた住宅、
住宅金融支援機構が承認したプレハブ住宅・工法などであれば、木造住宅でも、準耐火構造に準ずる防火性能を持つ、
​​​​​​​「省令準耐火建築物」として認められ、保険料を安くすることができます。

 

■木造住宅の防火性能の調べ方

では、木造住宅の場合、どのようにして「省令準耐火建築物」にあたるということを調べるのでしょうか?

これは、建物新築時の確認申請書類や設計図書、あるいは特記仕様書などの書類で確認することができます。

ここに「省令準耐火建築物」との記載があれば、木造でも保険料が安くなります。

また、施工会社の発行する保証書などにも明記されている場合がありますので、必ずチェックするようにしましょう。

 

いかがでしたか?

火災保険でも地震保険でも、木造住宅は保険料が高くなりがちですが、建物の構造によっては保険料が安くすることができます。

何十年も払う保険料だからこそ、新築時には注意して加入するとともに、すでに加入済みの方も保険の階級や建物の構造を再確認したいものですね。

 

【参考】

省令準耐火構造 – 住宅金融支援機構

火災保険の構造別階級・地震保険の構造別階級 – 住宅金融支援機構

※ 建物の区分 – あいおいニッセイ同和損保

2016年05月22日 20:35

欠陥で泣かないために・・・中古住宅購入3つのポイント


都心のマンション価格がバブル期に迫る高騰を続けている、というニュースをご存知ですか?
都心部の地価の上昇の影響で、マンションも値上がり傾向にあるのです。

そんな中、割安で立地や利便性の良い“中古住宅”が注目を浴びています。

しかし、中古住宅のイメージと言えば「欠陥が多そう……」「地震で壊れそう……」「古くて汚い……」などなど、あまり良いイメージがない方も多いのではないでしょうか。

実際、中古住宅の売買が住宅取引全体に占める割合は1割程度。

中古住宅の売買が活発な欧米は7割~9割であることを考えると、とても低い水準と言えます。

この日本と欧米の中古住宅流通量の違いには理由があります。

戦後、焼け野原となった日本では、住宅不足から「質より量」が求められ、「住宅はいつか壊れるものだから、適宜建てなおすもの」という意識の木造文化を受け継いできました。

しかし欧米では、重厚な石造り文化による歴史的建物も多く「住宅は永く残るものだから、適宜修繕していくもの」という考えが強くあります。

この考えの違いから、日本では新築重視、欧米では中古重視の傾向につながっているのです。

しかし、日本の住宅も年々進化し、高寿命へと変化を遂げています。

そんな状況から、割安で立地や利便性の良い中古住宅を購入したいと思う人も、年々増えてきています。

平成25年現在、日本全国における住宅の総戸数は6,000万戸と全世帯数である5,000万世帯を越えています。

これは、1世帯がセカンドハウスを所有している他、誰も住んでいない空き家も800万戸以上もあるからです。

つまり現状「住宅は余っている」という状況で、うまく探せば良質な中古住宅を購入できるチャンスも十分にあるのです。

でも、良質な中古住宅を選びたくても、どこをチェックすれば良いのかなんて分かりませんよね。

たくさんの中古住宅の中から、より良い家を見つけるには、どうすればよいのでしょうか?

 

ポイント1. 経験豊富な建築士など、ホームインスペクション(住宅診断)を受ける

どんなに自分で勉強しても、中古住宅の質を見分けるのは至難の業。

かと言って、不動産の営業マンの言葉を鵜呑みにするわけにもいきません。

ここは割り切って、お金をかけてでも、プロにホームインスペクション(住宅診断)をしてもらいましょう!

 

ポイント2. 中古住宅の保証が必要な人は「既存住宅瑕疵保険」という住宅保険に入る

あまり知られていないのですが、中古住宅専用の保険というものがあります。

この保険はとても優れていて、保証はもちろん、ホームインスペクション(住宅診断)もついていてお得です!

 

ポイント3. 補助金や税制などが使える中古住宅を購入する

意外に落とし穴なのですが、せっかく良質な中古住宅を見つけ出したとしても、条件によって補助金や減税の恩恵を受けられない物件もあります。

購入後に後悔しないように、きちんと調べましょう!

 


 

2016年05月16日 20:39

地震で加害者にならないために~家族と近隣住民を守るための地震対策 ​​​​​​​


平成28年熊本地震と命名された、今回の地震。

身体が竦みそうな強い揺れは1回に留まらず、断続的に続いたのが大きな特徴でした。

筑波大学の境有紀教授によると「平成28年4月16日におきた熊本地震本震は、4月14日に起きた前震の1.6~1.7倍の破壊力のある地震動だった」との見解を示しています。

また16日の本震は、東日本大震災の約5倍、阪神・淡路大震災の7割程度の強さをもつ地震動だったとも発表されています。

地震大国日本に住む以上、このような大地震がいつどこに起こっても不思議ではない状況の中、私たち一人ひとりが地震対策で今できることは何なのか、改めて考えてみましょう。

 

■「1.2m」以上のブロック塀に注意!

 

自宅の敷地内の建物などは、その持ち主が安全に保たないといけません。これは、建築基準法第19条により規定されています。

敷地内の“建物”とは、自宅はもちろん、物置、塀・擁壁なども含まれます(樹木・生け垣などは含まれません)。

また、自宅敷地内のブロック塀の高さが、低いほうから1.2mを超えている場合は倒れないよう、控え壁などを設けて補強するか、倒れても危険でない高さ(1.2m以下)まで塀をカットすることが必要になります(建築基準法施行令第62条の8)。

特に道路に面するブロック塀は危険ですので、必ず守りましょう。

地震で歩行者がブロック塀の倒壊に巻き込まれて死亡するケースが増えており、その場合は塀や擁壁の所有者が敷地の建築物の安全性の維持を怠った責任を問われてしまいます。

 

■家具は固定し、棚などの扉は地震でも開かないよう工夫する

 

地震では、想像以上のエネルギーが生まれます。

「まさか」と思う重いものでも、落ちたり、飛んだり、倒れたりすることは珍しくありません。

造りつけでない家具は、地震による衝撃で倒れたり動かないよう、突っ張り棒などで天井か壁に固定しましょう。

また棚に収納している食器などは、地震時に扉が開いて危険です。

地震時の衝撃を感知して、扉が開かなくなる「耐震ラッチ」という特殊金物がありますので、棚や食器棚などにつけて自宅内の安全を図りましょう。

また、重いものや飛んでくると危ないものは、高いところに置かないようにしましょう。

 

■家の「検査済証」を見返そう、1981年6月以前のものは要注意!

不安があれば、自宅の耐震性能を調べましょう。

まず、建物を新築した時に、公的機関から発行される「検査済証」というものがあるので、その交付年月日を確認します。検査済証の交付年月日が1981年6月以前/以降で耐震性能が大幅に違ってきます。

1981年6月以前の建物であれば、旧耐震で建てられた建物である可能性が大きいので、市町村などの耐震診断を受け、耐震補強をしなくては地震により倒壊の危険があります。

1981年6月以降の新耐震基準をクリアした建物であれば、新耐震基準で建てられた建物であるのでひとまず安心ですが、万全とはいえません。

壁のバランス配置や金物・基礎などの安全性の検討が必要です。

検査済証の交付年月日が2000年6月以降であれば、木造建物について構造強度の規定が追加され耐震性能が大きく上がった建物なので安心です。
 

 

いかがでしたか?

活断層に囲まれた日本で、大地震はじつはとても身近な問題です。いざというときに被害を拡げないためにも、自宅の安全性を確保することの大切さを考えてみてはいかがでしょうか。

熊本地震による犠牲者の方々、遺族の方々に心よりお悔やみを申し上げます。

 

参考

熊本地震の地震動:日経アーキテクチャ

建築プレミアム

2016年04月27日 20:23

震災の日に考える・・・自分でもできる「わが家の耐震診断」で、地震に備えよう!


3月11日は東日本大震災の起きた日です。
時間の経過とともに、あの日の震災のことを忘れてしまいがちです。
しかし、南海トラフ地震や首都直下型地震がいつ起きても不思議ではない現在、今一度、我が家の耐震について考えてみましょう。
今回は「自宅で出来る耐震診断」についてのお話です。
 

・2013年時点での日本の住宅耐震化率は82%

無題

耐震化率とは1981年にできた「新耐震基準」に基づいて設計された建物と、その基準に適合するよう建物の補強を済ませた建物の数を、全体の建物数で割った割合です。つまり、どれだけ震度6程度の地震に耐えられる建物が、現在日本にあるかという割合です。2013年の調査では、日本の住宅の耐震化率は82%となっています。また、政府は2014年に発表した大規模災害への対応の指針の中で、2008年度に79%だった住宅の耐震化率を東京オリンピックの開催される2020年度までに95%に引き上げる数値目標を掲げています。
 

・耐震診断と費用の目安

建築基準法は1978年の宮城県沖地震の発生により耐震基準が見直され、1981年に先に述べた「新耐震基準」が定められました。その後2000年には木造住宅では筋交いの接合部の規定を追加するなど、耐震基準の内容は強化されています。
耐震診断とは1981年以前に建てられた建物が、現行の新耐震基準をもとに耐震性の有無を確認することです。1981年以降に建てられた建物に於いても、劣化等が懸念される場合は耐震診断で耐震性能を確認します。
耐震診断料金は、床面積にもよりますが木造一戸建てで約5万円から20万円程度と比較的高額です。

・耐震診断・耐震化への補助金と、多発する詐欺事件

住宅の耐震化を促進するため、各自治体は耐震診断・耐震改修を行った場合に補助金を出す制度を設けています。しかし、この制度を悪用して耐震診断や改修工事の費用を騙し取る詐欺が増えています。「古い住宅を改修しなければいけない努力義務が法律で決まりました。すぐに改修しないと法律違反で罰せられます」「改修工事代金全額が自治体から補助金で返ってくる」このような言葉で耐震改修を焦らせ、通常より高い費用で工事を進めてきます。
耐震診断を受けたい場合は各自治体が設けている相談窓口で紹介してもらうことができます。また補助金などを受けたい場合も事前に自治体に確認しましょう
 

・自分の家は自分で守ろう!誰でもできる簡易耐震診断表

耐震診断は敷居が高いという方には、自分でできる耐震診断もあります。
方法は簡単、専用のチェックシートに記入していくだけです。
 
 耐震診断表-2_コピー
耐震診断表-3_コピー
耐震診断表-4_コピー


「天災は、忘れたころにやってくる」ということわざがありますが、震災は忘れたころにやってきます。
いずれやってくる災害に備えるためにも、日ごろから自宅の耐震化や食料の備蓄など震災に備えることが、大切なようです。
 
 
参考:
住宅の耐震化率-国土交通省http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr_000043.html
誰でもできるわが家の耐震診断-一般財団法人 日本建築防災協会
http://www.kenchiku-bosai.or.jp/seismic/kodate/wooden_wagaya.html
 
2016年03月12日 13:14