未来の住宅はこうなる!? 「3Dプリンター」が24時間でつくった驚きの住宅とは?
3Dプリンターと聞いて、みなさんは何を思い浮かべますか?
写真などの情報を読み取り、フィギュアや人体模型など、比較的小さなものを精巧につくることができる3Dプリンター。
しかし、大きな家やビルを簡単に3Dプリンターによってつくることができたなら、私たちはいまより早く安く、簡単に住宅を買えるはずですよね。
今回は、夢の近未来住宅、3Dプリンターでつくった住宅についてお話ししたいと思います。
■プリンターの稼働時間は、わずか24時間!
米国・サンフランシスコにあるベンチャー企業のアピスコー社が、2017年2月に3Dプリンターによるコンクリート住宅の施工を実現したと発表しました。
驚きの3Dプリンター住宅は、2016年12月にロシアのスタピノという場所に建設されたコンクリート住宅です。
この3Dプリンターによるコンクリート住宅は、延べ床面積38平米の平屋。
3Dプリンター本体を現地に設置し、8.5mまで延ばせるアームの先端からコンクリートを吐出、アームを動かしながら建物の形をつくっていきます。
またコンクリート製の壁には、鉄筋の代わりに棒状の繊維でできた材料を水平方向に入れて強度を高めています。
外壁や床などの構造体をつくり、屋根や窓、断熱材などの施工は後から人が施工しています。
建設費用は1万134ドル、日本円で約115万円。
またプリンターの稼動や制御に必要な人員は2人で足りるうえに、躯体を構築するプリンターの稼動時間はわずか24時間でした。
これまでも3Dプリンターで屋根や壁、柱などの建築部材を製作し、それを建設現場に搬入して組み立てる建物などはありましたが、3Dプリンターを現場に直接設置して、実際の住宅を建設したのは驚きです。
いつかは職人さんもいらなくなる? 近未来住宅の完成ですね。
■日本での実現には多くの課題が?
早くて安くて、しかも火災に強く、頑丈なコンクリート住宅。
しかし、日本での実現には多くの課題がありそうです。
その一つが、法律の問題です。
日本には建築基準法という建物と敷地の安全に関する法律がありますが、この3Dプリンターでつくった構造体ではいまの建築基準法に合致しません。
その結果、今のままでは建築の許可が下りないことが予想されます。
2つ目は、基礎の問題です。
地震大国の日本では、地震時の地盤の液状化対策などから基礎工事は必須です。
しかし、3Dプリンター住宅では、鉄筋などを組み立てる基礎工事は施工されていません。
3つ目は、電気やガス、給水・排水などの住宅設備の問題です。
住宅ですから、多くの住宅設備が細かく施工されますが、今回の3Dプリンターでは配管用の穴の作成や配管・配線の取り付けなどは施工されていません。
住宅設備は手間とお金のかかる部分なので、この部分も人がつくるとなると、住宅の価格も工期も、現状のようにはおさまりません。
また、3Dプリンターが住宅やビルをつくるとなると、失業者が増えるという問題も生まれそうです。
いかがでしたか?
日本での3Dプリンター住宅の実現には、まだまだ課題が多いのが実情です。
しかし、認定住宅や規格住宅に限れば、法律などのハードルも超えやすく、安くて早くて丈夫なコンクリート住宅が実現しそうです。
プリンターが家をつくる時代は、すぐそこまで来ているのかもしれませんね。
(しかまのりこ)
【参考】
※ Apis Cor