好きな建材や住宅設備を使って、自分好みの空間をつくれる人気のリノベーションですが、無知なままリノベーションをおこなうと、あとで痛い目に合うことも。
中古住宅を買ってリノベーションする前に確認しておきたい6つの重要ポイントについてのお話ししたいと思います。
1.「リフォームかし保険」はついている?
リノベーションには、雨漏りや変形などのリスクはつきものです。
住宅トラブルの相談・住宅紛争処理 への支援などを行っている公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターによると、財団によせられた2016年のリフォーム相談件数は6757件。
そのトラブルの内容は雨漏りや変形、漏水やひび割れなど多岐にわたります。
「リフォームかし保険」は、リフォームやリノベーションなどの工事によって雨漏りや変形などのトラブルが起きた場合に、修繕費用を補償してもらえる保険です。
建築士による検査もついているのもメリット。
トラブルに備えて、工事をおこなう前に、リフォームかし保険をつけることをおすすめします。
2.断熱・耐震など、建物の性能をアップさせる内容は含まれている?
リノベーションをするときは、多くの場合、壁や窓なども取り壊し、柱や梁などの骨組みだけの状態にしてから、新しい住まいをつくっていきます。
その際、間取りや収納などにこだわる人は多いのですが、断熱や耐震など、建物の性能にこだわる人はあまりいません。
しかし地震なから生命を守るためには、建物の耐震性は最も重要です。
また建物を断熱化すると温度変化が少なくなるため、血圧が安定します。
断熱により、血圧が2.8mmHg下がるというデータが、スマートウェルネス住宅等推進調査委員会から発表されています。
季節にかかわらず、室温を18~21℃に安定させるためにも、屋根や壁・窓や床の断熱工事を検討することをおすすめします。
3.24時間換気はついている?
24時間換気とは、家の空気をまるごと交換するよう設計されている換気システムのことです。
この24時間換気、結露はもちろん、カビやダニなどの繁殖や、家具や衣類から放出される化学物質も取り除いてくれます。
とくに小さいお子様がいるご家庭や、アレルギー体質の方、ペットを飼っている家にはなくてはならない設備です。
平成15年7月から24時間換気の設置が義務付けられましたので、それ以前に建築された住宅には設置されていません。
4.間取りは希望通りに変えられる?
リノベーションの際、とても多い希望が「2つの部屋をつなげて、1つの広い部屋にしたい」というものです。
しかし、部屋をつなげる際に、障害となる柱や壁・天井からの梁が、構造的に除去できない場合があります。
その場合は、壁や柱・梁を残しながらの部屋になりますので、理想としていた空間にはなりません。
また、リノベーションは多くの場合、行政がチェックを行う確認申請が要りません。
そのため、建築士でない業者もリノベーションをおこなうことができるため、構造的に大切な柱や壁を除去したり、削ってしまうことがあります。
理想の間取りに変更できる物件か、建築士が設計を行う業者かなど、事前確認は大切です。
5.管理規約や、戸建ての建築協定などの内容は把握している?
購入したい物件が、マンションの場合はマンション管理組合の規約による制限があります。
規約の内容は、管理組合により様々ですが、多いものに、各戸で増設できる「電気容量(アンペア)」と「給湯器の大きさ」に関するものがあります。
例えば、キッチンをIHクッキングヒーターにしたり、電気圧力鍋・ティファールなどの電気ケトルなども使いたい場合は、電気の最大アンペア数を変更します。
しかし、規約で、最大アンペアが50アンペアと定められている場合は、60アンペアのブレーカーは契約できません。
また、戸建ての場合は、住む市町村に建築協定・地区条令などが設けられている場合があります。
建築協定とは街並みや環境を守るために、地域住民が自ら決めた規約のことです。
壁の色・塀の種類・高さや、用途など様々な規約による制限があり、守らなくてはいけません。
例えば、自宅でカフェやネイルサロンなどの店舗を開こうとした場合、建築協定により、出店が制約されている場合があります。
その場合は、当然ながら店舗を開くことはできません。
6.リノベーション費用は妥当?
リノベーション費用の相場は、構造や工事の内容にもよりますが、戸建てで500万円から1,500万円、マンションで300万円から1,000万円程度といわれています。
見積書を確認するときは、希望する住宅設備や建材が含まれているか?不要な工事は含まれていないか?などを確認してください。
とくにユニットバスやエコキュート(高効率給湯器)などの住宅設備は、値段を大きく作用します。
また、同じ図面・同じ仕様で、ほかのリノベーション業者に見積もりを取ることも、費用の妥当性を確認する点でお勧めです。
見積書の理解が難しく、リノベーション費用の妥当性を確認できないときは、専門家に診断してもらうこともできます。
公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターでは、専門家による「リフォーム見積チェックサービス」を無料で行っています。
いかがでしたか?
リノベーション済物件を購入される場合は、これらの事前確認ポイントがクリアされているか、チェックしてくださいね。
(しかまのりこ)
【参考】
※ 建築協定